デッキを構築するときやプレイするとき、カードゲームの戦略があまりにも複雑で、何を選択したら良いか迷うことがあります。もちろん、カードゲームの面白さは考えることにありますが、複雑に考えすぎることは逆に誤った判断に繋がってしまいます。
そこで、「オッカムの剃刀」という哲学的思考法を使って、カードゲームの構築やプレイをシンプルに考えてみましょう。
この記事では、次のようなことが学べます:
- 複雑な思考からの脱却(考えすぎない)
- デッキ構築やプレイの選択肢の幅を広げる
- 日常生活にも応用できる
一般TCG理論とは?
一般TCG理論はマジック・ザ・ギャザリングの元MPLである茂里憲之さんが始めた考え方で、「TCGで学んだことを社会で活用する、またはその逆(社会で学んだことをTCGに活用する)」という理論です。
少しカードゲームに自信のある人ならあるはずです。カードゲームから得た物事を考えるコツだとか、カードゲームと関係なさそうだけど実はカードゲームに使える知識だとか。学問を例にしましたが何でもいいです。
一般TCG理論を始めます|もりゆき
この、カードゲームと自身の知識の組み合わせる、という発想はカードゲームの思考をより広げてくれるものだと思いました。そこで、「一般TCG理論」を使用して、最近学んだ哲学的思考法の「オッカムの剃刀」とカードゲームを組み合わせて考えてみます。
オッカムの剃刀(Ockham’s rasor)とは?
「オッカムの剃刀(Ockham’s rasor)」とは、「ある事柄を説明するためには、必要以上に多くを仮定するべきではない」という哲学的思考法です。要するに、物事をシンプルに捉えようという考え方ですね。
オッカムの剃刀を理解するために、具体的な例を挙げてみましょう。あなたが散歩しているとき、地面に落ちているアイスクリームがありました。なぜアイスクリームが地面に落ちているのかを説明するためには、複数の可能性が考えられます。
- その場所に人がアイスクリームを置いた。
- アイスクリームを持っていた人が、食べている最中に落とした。
- 鳥がアイスクリームを落とした。
- アイスクリームが空から降ってきた(奇跡的な現象)。
これらの説明の中で、もっとも簡潔な説明は「アイスクリームを持っていた人が、食べている最中に落とした」という説明です。他の説明では、余分な要素や仮定が含まれているため、より多くの情報を必要とします。
ウィリアム オッカム 「オッカムの剃刀」の原理 | 中学生にもわかる哲学
このように、複雑な思考は却って間違った結論に陥ってしまう可能性があります。
選択肢を減らすことも選択肢の一つ
選択肢を増やすことは魅力的です。しかし、あまりにも選択肢が多いとデッキの「やりたいこと」が不明瞭になってしまったり、プレイングで悩むことが増えたりするかもしれません。
なので、一度「選択肢を減らすこと」で難しく考えないで楽しくカードゲームをプレイすることができるようになればと思っています。
選択肢を減らすことによって、次のような効果が期待できます:
- 戦術が明確になる
- プレイングの迷いが減る
- 意思決定力がしやすくなる
ただし、選択肢を減らすことは一つの手段に過ぎません。初心者の方や、考えすぎて迷っている方は、このアプローチをぜひ試してみてください。
TCGの思考タイミングについて
そもそも、一般的なTCGの原理原則とはなんでしょうか。プレイヤーはTCGのどこで思考しているのでしょうか。
- デッキ構築(Deck Building): デッキ構築は、TCGにおける基本的なステップです。プレイヤーは、自分のデッキに含めるカードを選択し、それらを組み合わせて効果的な戦略を構築します。デッキの目的やテーマに合ったカードを選択することが重要であり、シナジー(カード同士の相乗効果)を考慮することもあります。
- リソース管理(Resource Management): TCGでは、プレイヤーが持つリソース(通常はカード、マナ、または特定のリソースタイプ)を効果的に管理することが重要です。リソースの効率的な使用は、勝利に向けた鍵となります。
- アクションの優先順位(Action Priority): プレイヤーは、自分のターンや相手のターンに行動する際に、優先順位を考慮する必要があります。どのアクションを優先して行うかを選択することで、ゲームの流れをコントロールし、戦況を有利に進めることができます。
- カードの価値評価(Card Valuation): ゲーム中に登場するカードの価値を正しく評価することが重要です。効果の強さ、コスト、相手の戦略との相性などを考慮して、各カードの価値を判断し、最適なタイミングで使用します。
- メタゲーム理解(Understanding the Metagame): メタゲームは、特定の地域やイベントで主流となっているデッキや戦略の傾向を指します。プレイヤーはメタゲームを理解し、対策を講じることで、より競争力のあるデッキを構築することができます。
- プレイヤースキル(Player Skill): TCGでは、単純な運の要素だけでなく、プレイヤーの戦略や判断力が勝敗に影響します。プレイヤーは、デッキ構築やプレイのスキルを磨き、常に成長することが求められます。
今回は、「デッキ構築(Deck Building)」とと「プレイヤースキル(Player Skill)」に絞って考えていきます。
デッキ構築(Deck Building)をシンプルに考える
デッキ構築をシンプルに考える場合、以下の定義を用いることができます。
- コンセプト(やりたいこと)を明確にする
- 強いカードを最大数入れる
- 目的が曖昧なカードは入れない
コンセプトを明確にする
デッキを作る際には、明確な指標を持つことが重要です。指標がない場合、デッキの目的が曖昧になってしまい軸のないデッキになってしまいます。
例えば、
- アグロ / ウィニー:相手がしたいことをさせる前に早期決着を目指す
- コントロール:相手のしたいことを妨害し、相手に何もできなくさせてから勝利する
- コンボ:必殺のコンボを用いて相手に勝利する
- 特定のカードを使う:そのカードにあったカードでデッキを作る
上記のようなデッキはやりたいことが明確で仮定も少なくシンプルなデッキを組むことができます。
強いカードを最大数入れる
強いカードを最大枚数入れることで、プレイできる可能性が上がります。プレイできる可能性が上がることで、勝利に近づきやすくなります。シンプルでわかりやすい指針なので、一度試してみてください。
目的が曖昧なカード入れない
デッキに入っているカードの1枚1枚について、そのカードの投入理由を考えてみてください。
明確な理由がない場合や、目的が曖昧な場合、そのカードは必要ないカードと考えられます。
プレイヤースキル(Player Skill)をシンプルに考える
プレイヤースキルをシンプルに考える場合、以下の定義を用いることができます。
- プレイングの理由を明確にする
- リスクを最小限に抑える
プレイングの理由を明確にする
理由が明確な状態でプレイすると、うまくいった場合は仮定が正しいと判ずることができます。もし上手くいかなかった場合も、反省がしやすくなります。
勝利条件や相手の戦略に対する対抗策を明確に把握し、それに基づいて行動することで、戦略の一貫性が高まります。
リスクを最小限に抑える
各ターンで行うアクションの優先順位を正しくつけることやリソースを効率的に管理することで、リスクを減らすことができます。
リスクを抑えることで、カードゲームにおいてより安定した戦略を展開することが可能になります。
最後に
今回、オッカムの剃刀を用いて、カードゲームのデッキ構築とプレイヤースキルをシンプルに考えてみました。複雑なカードゲームでも、考え方をシンプルにすることで、戦略の明確化やプレイの安定性が向上します。
カードゲームに限らずですが、難しく考えすぎている、と思った時はオッカムの剃刀でシンプルに物事を定義してみてください。
難しく考えずにやってみよう!
カードゲームは、考えることが多いため、難しく感じることもありますが、最初はシンプルな考え方で十分です。楽しむためには、難しく考えず、純粋に楽しむ気持ちを大切にしてください。
- おもしろそうだから遊ぶ!
- イラストが好きだから使いたい!
- パートナーと一緒に遊びたい!
これくらいの軽い気持ちで始めていいと思うんですよね。種類によっては構築済デッキ(公式が商品として提供しているデッキ)もあるので、気軽に始められる環境も整っています。時間潰しの趣味としてはコスパもいいです、無限に遊べるので。おもしろかったら続けて、おもしろくなかったらやめましょう。一人でも多くの方にカードゲームを楽しいと思ってもらえると幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。おもしろそうだと思ったら、ぜひカードゲームに挑戦してみてください!